溺れる猿の気持ち

取るに足らない日々のなにか。澱のように溜まる愛すべきもたち。

努力の価値

結果よりも、頑張ったことに価値をおこうとする風潮が嫌い。

努力になんて価値があるなんて認めない、結果にしか意味はない。

 

未だに実物を見たことがないけれど、手を繋いで一斉にゴールなんてもってのほかだ。

一時期流行った2位じゃダメなんですかなんて、努力している人への侮辱でしかない。

 

これまた競馬の話になるけれど、ブエナビスタという馬がいる。

私はこの馬を偏愛している。ブエナビスタメモリアルとい動画がよくできているので、機会があれば見てほしいです。

未だに涙がでる。JCはただただ涙が溢れた。それくらいに愛おしい。

諦めないあの走りが、心をとらえて離さない。

 

とくに恵まれた馬体でもない、むしろ、ブエナビスタよりいい馬体の馬なんて沢山いる。知らない人が見たら、きっと馬券は買わないと思う。

 

彼女が輝くのは、レースの中で。

どんな展開、位置取りでも、猛然と追い込む。

届こうと届くまいと、彼女のレースは変わらない。

涼しい顔をして、凄まじい末脚を繰り出す天才少女。不屈の闘志をうちで燃やす。

 

そんな姿は、多くのファンに支持された。

デビューからの連続1番人気19回はJRAの記録となっている。

 

けれども、1番に支持され続けた彼女が勝ったのはたったの9回。23戦9勝と少なく感じるかもしれない。

 

GⅠでの2着は7回。最後の有馬記念以外は、なにか一つ変わっていれば全て勝てていた可能性もある。だけど、それは可能性でしかない。

 

ほんのちょっとの足りないなにかが、いつも彼女から勝利を遠ざける。

ハナ差だろうが、結果は結果。

どれだけ諦めずに走ろうと、2着という結果は変わらない。

後に記録だけを見れば、GⅠ6勝の名牝(最高はGⅠ7勝)。

着差も頑張りも関係ない。

 

1番人気に支持されれば、負けた時にそれだけ叩かれる。

期待が大きいだけに、落胆へと変わる。

 

2度の海外遠征、古馬王道2年皆勤。

雄馬でも音を上げるような過酷なローテを走り続けた。

でみ、そんなことは関係ない。

 

負ければ『ブエナビスタは終った』そん文字が紙面を踊る。

 

残酷なまでに勝者と敗者に分ける。

そこにある思いなんてものは、考慮されない。

 

価値が有るのは1着だけ。それ以外に価値はない。

そりゃまあ、馬券的には3着まで。馬主的には5着まで、金銭的に関わってくるから重要ではあるのだけれど。

 

ハナの差であろうと、1位と2位には天と地の差がある。

 

全員がいい結果になるわけじゃない。どれだけ努力していようと、1番になった者には敵わない。勝ったものにしか価値はないのだ。

 

でも、だからこそだ。

逆説的だけど。結果にしか価値がないからこそ、努力に価値が生まれる。

 

結果がすべての世界で、報われないかもしれない、そんな努力を続けられる。

頑張ることが尊いんじゃない、ひたむきに結果を求めることが尊いのだと思う。

 

だから、『みんな頑張ってるから、並んでゴール』それは、1番になれない者を侮辱していると感じちゃう。

ひたすらに1位を求めている人達から、1位の価値を剥奪するなんてありえない。

努力は、どこへ向ければいいのだろう。

まぁ運動会レベルだから、そこまではありえないけど。

 

べつにAKB批判とかそんな大層なもんじゃないし、AKBはそれはそれとしていいと思う。

だけど、ドキュメンタリーで舞台裏を見せて頑張っているでしょ?ってのはなんか違うなって。どうして見せちゃったんだろう。

 

だって、あれって普通だから。

過呼吸になって倒れる、そんなの本気でやってりゃどこにだって転がってる話。評価されるのはそこじゃない。

そこまでやっても、結果を出せなきゃ評価されない。そこにこそ価値が生まれると思う。

なんか、そんな悲壮感はいらない。結果だけで語るべきだと思う。

頑張ってる姿なんてフォーカスしなくても、自然と見えてくるし。

 

だから、なんだか総選挙も嫌い。あれって、頑張ってるのはファンな気がするし。

これは、きちんと追ってないからだろうけど、なにを評価されてその順位なのかも見えにくい。

順位を付けない風潮が流れる昨今。自分に明確な順位を付けられることを選べるなんて凄い。と評していた友達がいた。

でも、それって普通の事だと思う。生きてりゃ順位を付けられる。

 

むしろ、自分の選んだ場所で順位を付けてもらえるのだから、幸福なことだと思う。

しかも、1番じゃなくても評価される。

少し順位が上がれば、頑張ったね。順位が下がっても、頑張って、って。

 

まぁ、きっと対象が違うんだと思う。

どこかで部活の延長線上、身近な子たちが頑張ってる姿がいい。そんな評価を見たことがある。

 

うん、それはそれで素晴らしい。確かに身近に感じられるしね。

というか、AKB云々より、少女達の純粋な頑張りを、大人の食い物にしてる感が嫌い。

 

でも、だから、もっとシビアで、残酷な世界に身をおいている人達にも目を向けてほしい。